放射線科

1.はじめに

 画像診断、核医学、放射線治療を専門とする放射線科専門医を目指すプログラムである。最初の2年間は、総合研修として、全ての部門をローテーション研修する。3-5年目においては、3年目に1次試験の受験を行い、合格者は、画像診断、核医学の専門を目指すものは、画像診断2年6月、核医学6月の研修を行いながら、放射線治療医を目指すものは、放射線治療3年の研修を行いながら、5年目に2次試験を受験する。

2.専門医資格取得の要件

放射線科専門医認定制度(http://www.radiology.jp/modules/senmoni/index.php?id=7
当プログラムは、下記の放射線科専門医修練機関の認定を受けた千葉県がんセンターにて行う。

特殊施設病院の放射線科専門医修練機関の認定基準
対象: がんセンター、成人病センター、小児病院等では診療内容の偏りがあるが、放射線科専門医養成に役立つので特殊施設として別に認定基準を定める。
1. 修練指導者
 
(1) 主任指導者は放射線科専門医であること。修練指導者は放射線診療業務に専従し、かっ放射線診療に関する充分な識見及び業績を有すること。
(2) 修練機関には主任指導者の他に1名以上の修練指導者(1)がいること。
(3) 放射線物理学者(医学物理士)の協力により、放射線物理に関する修練を行い得ること。
(4) その他修練項目の中の必要な項目については内部又は外部より適当な講師を委嘱しうること。
注:(1)経験3年以上
2. 施設の整備
 
(1) 診療組織
 
1) 特殊施設病院で高度の放射線診療を行っていること。
2) 放射線診断・核医学および放射線治療の各々またはどれかに専従する複数の放射線医師がいること。
(注)部門別に分離認定をすることができる。
3) 放射線診断・核医学および放射線治療の各々またはどれかについて診療組織が確立されていること。
(注)部門別に分離認定をすることができる。
4) 病理部門があり、責任者がいること。
(2) 診療件数
 
1) 診断に関するもの
 
イ. 放射線診断については、年間の診断総件数が10,000件以上で、その内容が著しく偏っていないこと。
ロ. 核医学診療については、年間の診療総件数が500件以上で、その内容が著しく偏っていないこと。
2) 治療に関するもの
 

放射線治療については、年間の治療総件数(新規症例数)が60例以上で、その内容が著しく偏っていないこと。

3. 修練内容
  認定を受けようとする機関における修練内容は認定委員会で決定した修練項目に従うものとする。
(付則)
4. 修練機関の認定並びに取消に関する事項
 
(1) 放射線科専門医修練機関として認定を受けようとする機関の責任者は、所定の申請様式に従い、認定願を日本医学放射線学会に提出しなければならない。
(2) 申請書に記載した事項は著しい異動を生じた場合には直ちに届出しなければならない。
(3) 日本医学放射線学会は修練機関の整備状態及び修練の実施について調査を行うことができる.その結果、不適当と認められる場合に学会長はその機関の認定を取消すことができる。
   
臨床研修必修化後の受験資格について
  義務化された臨床研修期間は専門医の修練期間には含めない、従って最短では卒後7年目に専門医の修得が可能となる。
  臨床研修期間中に学会に入会することは可能ですが、臨床研修期間は専門医の修練期間とはみなさないということです。
 
受験資格
臨床研修必修化後
医学部卒業
1年
2年
3年
4年
5年
6年
7年
 
 
臨床研修2年
修練機関で2年以上
 
5年目一次試験
 
7年目
二次試験
当プログラムでの修練期間
レジデント1-2年(総合研修) レジデント3-5年(専門研修)
画像診断1年、核医学6月、放射線治療6月  1次試験
画像診断2年6月、核医学6月または、放射線治療3年
2次試験

3.カリキュラム責任者名、各施設の指導医名(太字が責任者)

画像診断部門指導医 高野英行
(日本医学放射線学会 放射線科専門医)
船津宏之 (日本医学放射線学会 放射線科専門医)
核医学部門指導医 戸川貴史
(日本核医学会 認定医)
久山順平 (日本医学放射線学会 放射線科専門医、日本核医学会 認定医)
放射線治療部門指導医 幡野和男 (日本医学放射線学会 放射線科専門医、日本放射線腫瘍学会認定医)
酒井光弘 (日本医学放射線学会 放射線科専門医、日本放射線腫瘍学会認定医)
荒木仁 (日本医学放射線学会 放射線科専門医、日本放射線腫瘍学会認定医)

4.カリキュラムの概要

一般目標(General Instructional Objects: GIO)
画像診断、核医学、放射線治療を体系的に学び、病気、診断法、鑑別診断、低侵襲な治療法などを理解し、実践できる放射線専門医を目指す。
 
個別目標(Specific Behavioral Objectives: SBO)
画像診断部門 画像診断は、様々な病気の発見ばかりではなく、病気の進展範囲の同定による治療方針の決定や治療後の経過観察等にも用いられる。画像診断の進歩は、聴診、視診や触診では判断できないレベルでの病気の治療を行うことを可能とした。そのため、一般診察のレベルで超音波検査、CTやMRIの知識が要求されるようになってきた。初期研修においても、画像診断法の原理、方法について学び、全ての画像診断法を網羅的に行うのではなく、最適な診断法、順序を習得することが重要である。また、画像を用いた生検法や治療法(Interventional Radiology)について正しく理解し、適応と限界を判断することができることを目指す。また、様々な病気に対する理解を深めるため、県立病院群内の放射線部門を統合的に結びつけることにより、多くの病気を体験し、一臨床医としても、十分な知識と経験を身につける。
   
1. 放射線防護
  放射線の適正な使用を行うために、その性質、防護法などを理解し、実践できる。
 
(1) 放射線被爆について説明できる。
(2) 被爆による障害について説明できる。
(3) 放射線発生装置の種類とそれぞれにおける防護法を実践できる。
(4) 患者の放射線被爆と放射線検査の適正化について説明できる。
2. 単純X線写真
  単純X線写真における像の成り立ちを理解し、異常像を説明できる。
 
(1) 単純X線写真の撮影法について説明できる。
(2) 胸部、腹部単純X線写真の正常構造を説明できる。
(3) シルエットサインについて説明できる。
(4) 単純X線写真でのノーマルバリアントについて説明でき、指摘できる。
(5) 単純X線上での変化について、パターン認識でき、他の医師に説明できる。
3. X線透視、消化管造影検査
  消化管造影写真における像の成り立ちを理解し、代表的な異常像を説明できる。また、被爆低減について実践できる。
 
(1) 上部消化管造影、注腸造影を行うことができる。
(2) 早期がんの分類を説明できる。
(3) 二重造影における代表的な所見について説明できる。
(4) 検者、被検者の被爆低減法について実践できる。
4. CT検査
  CT検査における像の成り立ちを理解し、代表的な異常像を説明できる。また、造影剤の副作用に対処できるようにする。
 
(1) CTの原理とその機種の進化について説明できる。
(2) 単純CTの適応と撮影、表示条件について説明できる。
(3) 造影剤の副作用について、患者に説明でき、その対処を行うことができる。
(4) 造影CTの適応、撮影、表示条件について説明できる。
(5) 単独で造影検査用の静脈確保を行い、ダイナミックCTを行うことができる。
(6) CT上の正常構造について説明できる。
(7) 代表的な異常の変化について、パターン認識し、説明できる。
(8) CTガイド下生検法を実施できる。
(9) 3次元画像を作成できる。
5. MRI検査
  MRI検査における像の成り立ちを理解し、代表的な異常像を説明できる。また、造影剤の種類、使用法、そして、副作用の対処ができるようにする。
 
(1) MRIの原理とSpin Echo法について説明できる。
(2) Gradient Echo法、Fast SE 法、Echo Planar 法, Parallel imaging, Steady state imagingについて理解する。
(3) MRI用造影剤の種類について説明でき、その容量、用法について述べることができる。
(4) 単独で造影検査用の静脈確保を行い、ダイナミックMRIを行うことができる。
(5) MRI上の正常構造について説明できる。
(6) MRI上の代表的な異常の変化について、パターン認識でき、他の医師に説明できる。
(7) MRI上のアーチファクトについて理解する。
(8) MRI用造影剤の種類と副作用について説明できる。
6. 超音波検査
  超音波検査における像の成り立ちを理解し、代表的な異常像を説明できる。また、超音波ガイド下生検法を実施し、超音波下穿刺法について学ぶ。
 
(1) 超音波検査の原理と代表的な異常像について説明できる。
(2) カラードプラー、パワードプラー、ハーモニックイメージングについて説明できる。
(3) 肝臓の区域分類と解剖学的構造物を説明し、単独で描出できる。
(4) 膀胱、子宮、卵巣を描出できる。
(5) 傍大動脈リンパ節を描出できる。
(6) 超音波ガイド下生検を行う。
7. Interventional Radiology
  基本的な動脈塞栓術、血管拡張術、超音波およびCTガイド下生検法、経皮的ドレナージ法などの適応、禁忌を理解し、指示できる。また、実際に実施できる。
 
(1) 動脈、静脈アクセスに必要なセルジンガー法を実施し、止血を実施できる。
(2) 基本的なカテーテル、ガイドワイヤーの選択を行うことができる。
(3) 大動脈分枝の選択的造影を実施できる。
(4) 血管造影手技上の副作用やアクシデントおよびその対処法について述べることができる。
(5) 塞栓物質、動注薬剤等を理解し、その使用法、副作用について述べることができる。
(6) 超音波およびCTガイド下生検を実施する。
(7) 経皮的ドレナージ法を実施する。
8. 画像情報
  病院における情報の取り扱い方、標準規格等を理解し、デジタル化された医療情報のスムーズな運用を行う方法を理解し、指示できる。
 
(1) DICOMについて説明できる。
(2) HL7について説明できる。
(3) IHE-Jについて説明できる。
(4) アナログ情報のデジタル化情報への変換を実施できる。
核医学部門 千葉県がんセンターは300床規模の病院であるが、核医学部門はSingle Photon Emission CT(SPECT) 専用器2台、2検出器対向型ガンマカメラを3台保有しており核医学検査設備が充実している。日常の検査は多岐に亘るが病院の性格上、骨転移の検出を目的とした骨シンチグラフィがもっとも多く行われている。腫瘍シンチグラフィ(腫瘍SPECT)による腫瘍の機能的診断に関してはこれまで多くの優れた研究成果がある。タリウムSPECTを用いた腫瘍SPECT の検査件数は愛知県がんセンター、埼玉県がんセンター、神奈川がんセンター、国立がんセンターなどよりもはるかに多い。また非密封放射性同位元素専用の治療病室を1床有しており、甲状腺がん術後の放射性ヨード内用療法をおこなっている。核医学診療部ではがん患者さんを治療し治療効果判定および経過観察する際に、核医学診断がどのように役立つかを学んでもらう。PET診断、脳血流イメージ、心筋イメージ等、当センターでは体験することができない検査項目については、他院での実習による習修が可能である。
   
1. 基礎的事項
 
  アイソトープの取り扱いと防護
  核医学測定の基礎
  ポジトロン核医学診断
  イメージング機器およびイメージングの概念
  放射性医薬品(SPECT用、PET 用)
2. 臨床的事項
 
  骨シンチグラフィ
  腫瘍シンチグラフィ(201Tl, 67Ga)
  腫瘍SPECT
  出血シンチグラフィ
  肺血流シンチグラフィ
  腎シンチグラフィ(レノグラム)
  副腎(皮質、髄質)シンチグラフィ
  副甲状腺シンチグラフィ
  センチネルリンパ節シンチグラフィ
  脳血流SPECT
  心筋SPECT
  PET
  甲状腺がん術後の放射性131I 内用療法
 
  臨床的事項では、上記を中心に検査の適応目的を理解してもらい実際の患者さんへの薬剤の投与から撮像、読影の流れを実習してもらう。
  頭頚科、放射線治療部とは定期的に合同カンファランスを行っており、頭頚部腫瘍における核医学診断の役割について理解することができる。
  核医学関連の研究会・学会には可能な限り参加し、最新の情報を学んでもらう。
放射線治療部門 放射線治療は癌治療における主な柱の一つであり、近年の治療装置の進歩、発展に伴い、その需要は急速に増加している。放射線腫瘍医は、全身に発生しうる腫瘍に対して、その病期診断、最適な治療法の選択、治療後の経過観察、再発時における対処法などを幅広く身につける必要があり、腫瘍学として腫瘍全般に精通していることが求められる。また、放射線生物学、放射線物理学など基礎的な知識を身につけることも重要である。当センターにおいてはこれらの基礎的な知識を基に、通常の外部照射、ラディオサージェリー、IMRTなどの特殊な外部照射、子宮がん、肺がん、食道がんなどへの腔内照射、舌がん、前立腺癌への組織内照射などの小線源治療といった放射線治療手技全般について幅広く知識、技術の習得が可能である。
   
放射線治療総論
1. がん治療における放射線腫瘍学の役割を理解する。
 
(1) 術前照射の役割
(2) 術中照射の役割
(3) 術後照射の役割
(4) 根治照射の役割
(5) 姑息照射の役割
(6) 化学療法併用放射線治療
(7) 小線源治療の役割
2. 放射線生物学
 
(1) 放射線による細胞死の過程を理解する。
(2) 各種放射線によるがん細胞への影響の違いについて理解する。
(3) 分割照射における生物学的な特徴を理解する。
(4) 化学療法と放射線併用の生物学的効果、副作用について理解する。
3. 放射線物理学
  各種放射線についてその特徴および利用法を理解する。
 
(1) X線、電子線、ガンマ線、粒子線の特徴を理解する。
(2) 各種放射線の使用用途を理解する。
(3) 線量測定法について理解する。
(4) 線量計算法について理解する。

4.

治療計画について理解する。
 
(1) 初診患者における臨床評価について理解する。
(2) 治療目標の設定について理解する。
(3) 治療計画法について理解する。
 
  GTV、CTV、PTV、ITV等について理解する。
  X線シミュレータによる計画について理解する。
  CTシミュレータによる計画について理解する。
(4) 線量計算法について理解する。
5. 治療中の患者評価について理解する。
 
(1) 診察法
(2) 観察上の注意点
(3) 放射線治療の副作用および対処法
6. 治療後の患者の経過観察について理解する。
 
(1) 局所再発の発見および対応
(2) 遠隔転移の発見および対応
放射線治療各論  
   
1. 脳腫瘍における放射線治療について理解する。
 
(1) 各種脳腫瘍への照射法と線量
(2) 中枢神経照射による副作用と対策
(3) 全脳照射の適応
(4) 全脳全脊髄照射の適応
(5) 定位照射の適応
2. 頭頚部腫瘍における放射線治療について理解する。
 
(1) 頭頚部腫瘍放射線治療の副作用と対策
(2) 危険臓器の耐容線量についての理解
(3) 術前、術後照射の適応
(4) 小線源治療の適応
(5) 部位別腫瘍への照射適応と線量投与
 
  上咽頭がんに対する化学放射線療法
  中咽頭がんに対する化学放射線療法
  下咽頭がんに対する化学放射線療法
  副鼻腔がんに対する放射線療法
3. 食道がんにおける放射線治療について理解する。
 
(1) 食道がん放射線治療の適応
(2) 化学療法併用療法についての理解
(3) 副作用と対策

4.

肝、胆道系腫瘍における放射線治療について理解する。
 
(1) 肝、胆道系腫瘍放射線治療の適応
(2) 副作用と対策
5. 膵臓がんにおける放射線治療について理解する。
 
(1) 膵臓がん放射線治療の適応
(2) 副作用と対策
6. 直腸がんにおける放射線治療について理解する。
 
(1) 直腸がん放射線治療の適応
(2) 副作用と対策
7. 肺がんにおける放射線治療について理解する。
 
(1) 肺がん放射線治療の適応
(2) 化学療法併用療法についての理解
(3) 定位照射について理解する
8. 尿路系腫瘍における放射線治療について理解する
 
(1) 前立腺癌の放射線治療適応
  外部照射
  小線源治療
(2) 膀胱がんの放射線治療適応
(3) 精巣腫瘍における放射線治療
9. 婦人科腫瘍における放射線治療について理解する
 
(1) 子宮頸癌放射線治療適応
(2) 子宮体がん放射線治療
(3) 卵巣がん放射線治療
(4) 副作用と対策
10. 骨軟部腫瘍における放射線治療について理解する
 
(1) 骨軟部腫瘍の放射線治療適応
(2) 転移性骨腫瘍の放射線治療
11. 各種転移性腫瘍における放射線治療について理解する
12. 良性腫瘍における放射線治療について理解する。

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