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下肢静脈不全の治療

慢性静脈不全症と下肢深部静脈弁形成術

【はじめに】
下肢の静脈は表在静脈系と深部静脈系に大きく分けられます。表在静脈の弁不全では主に静脈瘤が発症し、深部静脈の弁不全では静脈瘤も発症しますが下肢の色素沈着や静脈鬱滞性潰瘍がみられることが多いです。また、長時間(午前中くらい)立っていると下肢が痛くなると訴える方も多いです。この下肢の深部静脈弁不全によって症状がみられる疾患を慢性静脈不全症といいます。治療としては潰瘍部や色素沈着部の圧迫療法が基本です。しかし、それでも治らない場合は手術(弁形成術)することもあります。

【診断】
外来診察で鼠径部(下肢の付け根)におけるドップラー超音波検査で深部静脈に逆流があるかどうか診断します。深部静脈に逆流を認め、症状が強く、患者さんが手術を希望される場合は逆行性静脈造影という検査を施行します。 この検査は日帰りでできます。局所麻酔下に肘の静脈からカテーテルを鼠径部近くの静脈まで挿入し体を45度くらいの斜位として造影剤を注入し静脈の逆流の程度を調べます。逆流の程度が重症の場合(3度以上)弁形成術の適応としています。

【手術方法】
全身麻酔下で鼠径部に10cm程度の縦切開を置き、 深部静脈を剥離露出し、へパリンという抗凝固薬を全身投与します。まずは、修復する弁の上下で静脈の血流を遮断し、内視鏡を用い、術中に逆流の程度や部位を観察します。静脈を縦に切開し、弁を直視下に観察します。静脈弁は普通2尖弁で、弁と弁とがポケット状に静脈内腔に付着しています。この弁と弁が静脈壁で合わさる部を交連と呼んでいますが、交連部で8の字を描くように弁を吊り上げます。(図1)その形成後に再び内視鏡で逆流の程度を観察し(図2)、そのまま終了するか、さらに吊り上げを追加するかを判断します。
手術の様子  手術前後の様子

【成績】
平成10年から平成18年までに33例37肢に弁形成術を施行しました。全例症状の改善を認め、遠隔期再発は2例に見られました。合併症は1例に深部静脈血栓症を術後2週間目に認めましたが、治療により軽快しました。
林田直樹



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